弁理士資格、挑戦しようかな?
弁理士業界の現実を知りたい。
という疑問に答えます。
2005年からの知財業界在住、サラリーマン弁理士ブロガーのパテろうです。
一般に弁理士資格取得には2000時間程度の勉強が必要と言われています。
実際、合格してみたけど期待していたのと違った、、、ということは避けたいですよね?
そこで、弁理士資格を取得してみた実際について、体験を通じて得た意見をお伝えします。
■弁理士資格
弁理士は知的財産を扱う法の専門家として、企業や個人発明家に代わって特許等の知的財産権権利取得に向け、特許庁とのやり取りを代理する法律系の国家資格です。
特許、意匠、商標の権利化に向けた特許庁との手続き業務の代理業務の他、事業の障害になる他社の権利を無効化したり、自分の権利や他人の特許が権利範囲についての見解作成、知財関連のコンサル等、知財分野で業務範囲を広げていくことができます。
特許事務所で勤務し、複数のクライアント企業の知財問題に幅広く担当する弁理士が多いですが、企業に所属して企業の特定領域の専門性を深める弁理士も増えています。
■弁理士の収入
弁理士の収入ですが、以前は資格取得=高収入の時代があったようですが、状況が変わってきています。
日本の特許出願件数は2001年には439,175件ありましたが、2019年には307,232件まで落ちてきています。
約20年でメイン市場が2/3になってしまっています。
一方、弁理士の人数は2001年では4776人だったのが、2019年では11336人です。
弁理士一人当たりの出願件数で考えると、この20年で仕事が1/3以下に減っていることになります。
ただ、日本の出願件数が減った一方で外国出願の数は増えているため、単純に収入が1/3になっているわけでは無いのですが、特許庁との手続き業務の代理だけでは2000年以前に平均的に得られた収入は期待できないようです。
このため、今後はますます出願権利化の代理業務に加えてできる業務の重要性が増していくと思います。
では、弁理士資格の価値は下がっているのでしょうか?
これは断言できます!
そんなことはありません!
◆資格の信用
まず、肩書きがあると信用度が格段に違います。
名刺に弁理士の資格があると、反応が変わります。
特に海外の事務所とのやり取りではこれを実感します。
資格の信用によって、印象が良くなれば、その後の仕事も進め易くなることが多いです。
◆情報収集
次に、弁理士限定の様々な研修が用意されているため、知財分野の最新情報の入手やトレンドの把握がしやすいです。
弁理士を含め、いわゆる士業の資格はその資格の質を維持するための研修を備えていることが多いです。
弁理士も弁理士登録をすると弁理士会に所属することができ、弁理士会が準備する講習が受講が可能となります。
弁理士会の研修はWeb研修も含めて審査実務だけでなく、外国の知財状況や知財会計まで知財に関連する多くのジャンルについて講習を揃えていますので、欲しい情報を効率的に入手できます。
この情報から知財のトレンドの把握や実務のノウハウの習得が可能です。
さらに任意の弁理士の会派に属することで他の弁理士との情報交換や横の繋がりもできます。
弁理士は独占業務を備えているので、数は増えたと言っても参入障壁の高い業界です。
全ての弁理士が研修の情報を生かしきれている訳ではないため、これらの情報を生かすことができるだけでも、同業者と差別化できる可能性もあります。
こう考えると、まだまだブルーオーシャンが残っている業界であることは間違いありません。
これらの背景を踏まえると参入障壁のある独占業務を核として、アイデア次第で業務範囲を広げることができる点で依然として魅力的な資格だと思います。