アイデアの範囲はどこまで守れるの??
平成28年の本試験での出題された論点になります。当面、同じ問題が出題される可能性は低いと思いますが、意匠法の保護対象に対する理解を確認できる論点のため、形を変えて問われる可能性はあるため、抑えておいた方が良いと思います。
この論点は、特許法において均等論が認められるべきかの論点と本質的には同じです。
意匠法1条では、意匠の保護を図ると規程していますが、保護対象である意匠とは物品の美的外観等に係る創作であり、抽象的な概念ですので、本来、その範囲は図面で具体的に定めることは出来ないものです。
一方で、意匠登録出願は、意匠登録を受けようとする意匠を記載した図面を願書に添付して行います。(意匠法6条1項)当然、意匠法の保護対象である物品の美的外観等に係るアイデアと図面で具体化された一の意匠とは一致しません。この論点に言及することができるか否かで、点数は大きく変わると思います。
この論点について、意匠法1条の観点から、美的外観に係るアイデアの範囲で一の登録意匠で具現化されていない意匠についても保護すべきす必要性が生じます。
ここで、意匠法では類似という概念を規程し、意匠権による保護が及ぶ範囲を登録意匠だけでなく、登録意匠に類似する意匠の範囲までとする一方で(意匠法23条)、類似の範囲を需要者の視覚を通じて起こさせる美観に基づいて判断される範囲に限定する事で第三者による意匠権が及ぶ範囲についての予見性を担保しています(許容性)。
出願書類は具体的な図面に対し、意匠権の保護対象が抽象的な概念であるアイデアであるため、意匠権の効力がどこまで及ぶのが妥当かを必要性、許容性の観点から整理できれば高得点が狙えます。
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