弁理士試験論文試験の答案構成で失敗しないために

「弁理士の論文試験では答案構成が重要と良く言われるけど、何をどこまで作成すれば良いか知りたい。」

「時間をかけず合格答案に導くための答案構成のノウハウが知りたい。」

この記事はそんな方に向けて書いています。

はじめまして。

2005年からの知財業界在住、メーカー勤務のサラリーマン弁理士ブロガーのパテろうです。

弁理士試験ニ次の論文試験、まさに弁理士試験の山場。

難関の一次試験を突破した勢いで論文も突破!! 

と思いきや、

問題文は理解できるのに全く点数が伸びない、、、、汗

勉強時間をかけてるのに点数が伸びない、、、涙

こういう経験をされた方も多いのでは無いでしょうか?

これ、論文試験を一次の勉強方法の延長と考えてしまっているから、、、かもしれません。

私も当初は一次試験の延長と考え、自分の知識をしっかりと示せば合格できるくらいに甘い考えを持っていました。。。。

受験コストを抑えたいという思いもあり、予備校を活用しなかったことも自分の考え違いに気づくのが遅れた理由かもしれません。。。

が、

回り道をして悩んだことで、逆にこの試験の本質を深く考えることができ、最終的には余裕を持って合格基準点(54点)を超えることができました!

この記事では、青本の通読、受験仲間の答案研究、合格後の私ゼミの講師経験を通じて得たノウハウをシェアすることで、これから弁理士試験に挑戦する方に短期で弁理士試験を突破してもらいたいと思います。

独学で合格を目指す方だけでなく、予備校を活用されている方も参考になると思います。

どうぞ宜しくお願いします。

◆二次試験の位置づけを知る!

どんな試験でも、試験の目的があるはず。

では、二次試験の目的、すなわち二次試験でチェックすることは何でしょうか?

ズバリ、弁理士として特許庁に提出する書類を作成できる素養があるかのチェックです。

弁理士の主な業務は特許庁への手続きの代理です。

弁理士試験の主催者である工業所有権審議会は特許庁の上級官庁である経産省が所轄する組織です。

弁理士試験を特許庁へ提出する書類の作成能力をチェックする試験と考えると、論文試験の見え方が少し変わってくるのでは無いでしょうか?

特許庁とのやり取りで通知される拒絶理由に対し、意見書で特許発明の意義や効果を長々と主張しても論点がずれていれば特許にはなりません。

短い意見書であっても、引用された発明とのクレーム上の相違点とその効果を的確に示せれば特許となります。

論文で陥りやすい罠、特にベテランの受験生が陥りやすい罠の一つに知っている知識を詰め込んでのアピールがありますが、この構図を理解すると、いくら知識をアピールしても、採点官の心にはあまり響かない理由が分かると思います。

採点官に響くのはズバリ知識ではなく、論点の正確な把握と結果に至る論理の構成力です。

問われた論点に対し、結論と法律面の根拠を示した理由が記載されていれば確実に高得点が狙えます。

この論理構成を整理するのが、答案構成です。

◆二次試験突破の鍵、答案構成

万年筆又はボールペン等、消しゴムが使用できない筆記具で論文を書く独特のスタイルのため、記述の開始前に答案に何を書くかを整理する答案構成を行うことが一般的です。

答案構成を答案と同じ程度の文章で書くと時間がなくなってしまう一方で答案構成が不十分だと答案記述時に論理が繋がらず、修正の多い答案となってしまいます。

では、答案構成では何を意識すれば良いか?

繰り返しになりますが、答案構成の目的は論点の明確化と結果に至る論理の整理です。

答案構成は提出するものでは無いため、論理展開が追えればそれで十分です。

具体的な書き方を解説します。

◆どこまで記載するか

 条文を参照できる内容は省略!

まず、答案構成は解答の設計図であり、答案構成自体に点数は付きません。

あくまで答案を書き起こせる程度に内容が分かれば良いメモと割り切って下さい。

論文試験では法文集が貸与されます。

法文集には各法域の条文の情報が入っていますので、例えば先願による拒絶を論述したいときは、根拠条文の39条1項と49条2号を39①、49△2のようにメモすれば記載する条文の内容をメモしなくても条文を書き起こすことができます。

私ゼミの講師をしていると、文章で答案構成を記載し時間が足りなくなる受験生もいました。

条文を根拠にできる部分については条文番号のみのメモにとどめることで答案構成にかかる時間を節約できます。

◆何を記載するか

 当てはめ問題は条文番号、論述問題は結論と根拠条文

論文試験では結論を導くための論理が重要です。

特許法の1枚目で出題されることの多い当てはめ問題では、答案構成では結論と条文番号を記載しておけば、条文を確認しながら要件を当てはめていくことができます。

特許法の2枚目や意匠法、商標法で出題されることが多い論述問題では、答案構成でが結論と結論の妥当性を示すため、問題点や結論の内容とすべき必要性、得点アップを狙う場合には結論の内容としても法の想定される範囲に影響が限定されることを示す許容性の論理を条文番号等を用いてメモしておけば、それを元に論述できます。

下は私が本番で行なった答案構成です。

練習を重ねれれば答案構成をすることで頭の中に文章の流れができ、記載前に論理の矛盾が無いかや、おおよその記載量と記述にかかる時間も見積れるようになります。

◆答案構成の目安時間

試験時間の30%はしっかり答案構成

特許・実用新案法の場合、2題合わせて40分~45分、意匠法と商標法の場合はそれぞれ30分が目安です。

この目安時間を超えると記述時間が足りなくなる事が多いです。

ただ、答案構成が不十分の状態で書き出すと出題者が仕掛けたトラップにハマり、論理が不十分なものとなってしまう事が多いので目安時間一杯は答案構成の作成又はブラッシュアップを行うのが良いです。

なお、特許・実用新案法の場合は人によっては答案構成をまとめて行わず、20分答案構成⇨40分答案作成→20分答案構成⇨40分答案作成で行う方も居ます。

この点は自分に合ったスタイルをとれば大丈夫です。

筆者は交互にやる場合は1題目を解答し終えるのに60分以上かかってしまう事が多かったので、2題連続で45分以内に答案構成を行い後は記述に専念するようにしていました。

 

◆練習方法

 過去問を使って全文書きまで実行

答案構成の練習は質の高い問題で行うのが効率的ですので、過去問を用いるのがお勧めです。

過去問はベテランの複数の受験官が候補問題案を作成し、問題文中に矛盾が無いかの厳しいチェックを受けて作成されていますので問題としての完成度が高いです。

ベテラン受験者は過去問で答案構成のみを練習する方もいるのですが、時間がかかっても答案構成と全文書きをセットで練習することがお勧めです。

 

全文書きをしてみると答案構成の内容では文章が完成しない、実際には論理が繋がらない等の課題が見えてきます。

ゼミで答案の採点をしていると、答案構成では論点が挙げられているのに全文書きをすると「特許権を侵害する」と記載すべきところ、「特許発明を侵害する」のように根拠となる論理が繋がっていないことがあります。

この点は、合格者に全文書きの答案を見てもらうのが最も効率的です。

近くに合格者が居ない方はお問合せで全文書きの答案の内容を連絡頂ければ、気づきや修正すべき点を連絡させて頂きます。

(送付いただいた全文書きの答案は、参考例の記事等と使用させて頂く場合があることはご了承ください。)

 お問合せ

全文書きを行うことで自分の論文の細かな課題を抽出することで合格は確実に近づきます。

答案構成の内容から論文が問題なく書けるようになるまで練習し、全文書きに必要な情報が含まれつつ内容が省略化された答案構成の型を完成させて下さい。

以上が弁理士試験二次試験での答案構成の仕方です。

答案構成のノウハウは弁理士の論文試験以外にも仕事等、色々な部分に横展開できる汎用性の高いノウハウになると思います。

実際、筆者は弁理士試験で覚えた答案構成による思考の整理方法は仕事での資料作成等でも活用できています。

また、このスキルは中小企業診断士二次の記述試験に対応する際にも非常に役立ちました。

折角の勉強なので答案構成のノウハウを身に付けて論文試験突破に加えて、スキルアップも目指しましょう!


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